月のかげ私の元にも降り注げ それだに叶へ思ひけれども
桜草霜を溶くらん風はまだ身を刺す冷たさ冬の残り香
我死なん 君がまめ立ち言うならば我が魂ともに露と消えなん
たんぽぽを手折ることさえ難しく切り花買うは易いというに
冬空に寒さ寂しさ際立つは布団の恋しさ 君の手の熱
セミにまで死ねと言われているような暑さが木から降ってきている
滝音に夜闇が染みて片羽のからすとんぼの黒さに気づく
息吐いて世界を嫌いにまた一歩 夜の浜辺に今日も行き着く
愛せよと叫ぶ夜空の蟇蛙裂ける咽の血の暁よ
「殺すな」と「死にたくない」と言う輩 この世の何がそんなに楽しい?
よく晴れた夜闇の藍色ひとしずく頬にペイント、道化がかしずく
「どうしたの?」君と視線がかち合って、「なんでもないよ」ただの充電。
飲み屋街冥府の路地に猫が言う「この世は煉獄」「希望を捨てよ!」
君のこと考えながら目を閉じる 君もそうなら、夢に来るかい?
夢の中流した涙も微笑みも生きる糧にはなってくれずに
「生きてれば、いいことあるよ」「そんじゃあさ、それを対価に死んだって良くね?」
あなたさえ味方だったらそれでいい そう思えてたら、私、とっくに
そんなこと急に仰いましてもねぇこちらとしても困るんですよぉ
冬の日に息の白さで生を知る コートの紐は点滴の管
目を閉じて巡る血潮に息吸えず シャットダウンができたらいいのに
死にたくて死にたくてなお生きてます僕の体は流体なので
1-20首目

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